超人にならなくていい(2)
ふたたびマツドサイエンティスト研究日誌 http://anoda.cocolog-nifty.com/mad/ を読んで、「抽象化」と言うのはどういうことか、ちょっと判りにくいと思い、考えてみました。
例えば、オーケストラと言う音楽組織は、非常に西洋的な大規模プロジェクトの実例であるように思います。まず、各楽器にはそれぞれの特徴ある奏法・音色・機能・歴史的背景・イメージなどなどが存在しますが、それに半ば依存しつつ、かといってそれに全面的に依存することなく、音程(和音・和声)、リズム・テンポと言う形で抽象化された階層によって具体性を隠蔽した上で、オーケストラとして機能します。そして、指揮者は、少なくとも演奏会に対してはプロジェクトマネージャーとしての機能を果たしています。
各楽器は、基本的に、音程(和音・和声)、リズム・テンポと言う形で抽象化されており、腕や指をどのように動かすか、息継ぎをどのように動かすかと言った実装面は、基本的に隠蔽されます。抽象化は階層化されております。例えば、弦楽器は、(高中音=ヴァイオリン(第一+第二)+ヴィオラ)+(低音=チェロ+コントラバス)と階層化されており、機能的な連携が図られます。
指揮者の指示は、基本的には実装面に関わるべきではありませんが、どこまで実装に関わることができるか、と言うのは、指揮者の個性とはなり得ます。指揮者がある楽器出身で実装面までよく知っているのですが、かえって問題となることがあります。ひとつには、「俺の方がよく知っている」と言う思い込みによるコミュニケーション不全。あるいは、ある機能だけが極端に肥大化したソフトウェア/ハードウェアのように全体としてのバランスが悪くなることが考えられます。
これらの点はそれはそれで面白いものの、プロジェクトマネージメントに関しての思考が深まるわけではないので、このあたりで放置したいと思います。
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