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今週の戯れ歌

佳き花の植わりし庭ぞ忘れがたし花の名前はなほ知らねども

酒飲めば父の供養になるならむ母の目つきはきつくなれども

父母の諍ひは何時も酒ならむ酒飲む我の今も悲しむ

酒飲めば楽しくあれと父の言ふ父とて何時もさうはあらざり

老後には如何に過ごすと問はれても何ひとつだに思ひつかざる

ひたすらに仕事と楽器に生きるならば他にするなる事も思はず

酒飲みて默し座れる一時の考えざるは死を待つ一時

昔昔流行れる歌の流るれば洟垂らしたる頃も思はむ

難しき曲をさらへるこの頃は酒も控えむ無駄であるとも

焼鳥の煙慕はし夕暮の赤提灯の我を呼ぶなる

父ならばより多く飲む宵なれど不肖の息子は出来上りたり

早く焼けよ我が頼みたるマルチョウの煙はあれど出来は未だなる

香り良き焼鳥我の目の前で他所の人なる前に飛びゆく

愚にもつかぬ三十一文字の並び行く我が人生の意味なきやうに

焼鳥に「ねぎま」は欠かすべからざる子供の頃の夢の食べ物

「人生」を「腎性」なると変換すそんな言葉は見たこともなし

「こんにちは世界の国から」と歌の流るあまりに昔の歌に驚き

少しばかり酒の足らざる今のうちに切り上げるほど賢くありたし

ありたしと思ふ我とはまた別に尻長くする我も我なる

異なれる我を認める余裕あるは歳を長けたる功と思はむ

ほんたうの歌詠む人に褒めらるる素人貶さぬ優しさなるべし

ありがたや真の歌詠む人なれば素人相手に文句は言はざる

焼鳥の焼ける間に間に暇つぶす三十一文字の無駄に並ばむ

次のあらば唐揚げ食べたき気持ちあり次なる時の何時かあるらむ

酔ひ醒めて三十一文字を見返して恥ずかしきとも思はぬ我かは

煙満つ焼鳥屋良し今日は飲まむ明日のことは明日考ふ

最近はうた詠むことも遠ざかり偶に酒飲む時の酔狂

酔狂に三十一文字を並ぶるはまさに酔ひたる時の酔狂

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