インターネット上の音楽

この数年インターネット上の音楽を聴いている。
様々な音楽を聴けるのがよいところで、特段のこだわりなく、できるだけ幅広く聴くというのを心掛けている。

特に、米国の放送会社(への番組配信を行っている)らしい「NPR」の「Tiny Desk Concert」はめっけもんである。
もともと、Blue Manの演奏を探していて見つけたのだが、非常に面白い。

以下、自分が気に入った音楽のメモである。

Rahim AlHaj NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=osf1gckzf70
 リュートや琵琶の仲間ウード。楽しい音程。

Monsieur Perine: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=JGL-eQAAxGs
 コロンビアの楽団。好きだね。

DakhaBrakha: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=hsNKSbTNd5I
 非標準なチェロ奏法。

Mariachi Flor De Toloache: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=-rl26QKPHtE&t=78s
 調子っぱずれのラッパが素敵。

Khruangbin: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=vWLJeqLPfSU
 「60~70年代のタイ音楽や東南アジアのポップ・ミュージックに影響を受けたソウル~ファンク」らしいっす。
 私には1970年代の刑事ドラマっぽく聞こえるのです。
 Gパン刑事(デカ)が港の倉庫の前、照り付ける日差しを浴びて走ってゆく。
 これが気に入ったら、https://www.youtube.com/watch?v=QcD_YXCxxZM も見て欲しい。

Red Baraat: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=lgmw41CY1Fo
 楽しいブラスバンド

My Bubba: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=uzzVdi3HOfU
 きれいなお姉さんの音楽

Rodrigo y Gabriela: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=wKd0HNg1kFQ
 恰好良いギターデュオ。

Danish String Quartet: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=cfuEIHEZobc
 珍しくクラシック系

SsingSsing: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=QLRxO9AmNNo
 一種異様。冷たいバックバンドも良い。アジアの共感。

A-WA: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=nbt-fm5DcQ0
 よくある民族合唱ともいえるけれど。ファンクでポップとでも言うのかな?

Blue Man Group: NPR Music Tiny Desk Concert
https://www.youtube.com/watch?v=qTJfITfbYNA
 NPRを発見したのは、ブルーマンを探していた時だった。

おまけ:
Jean Philippe Rameau. Forets Paisibles HD
https://www.youtube.com/watch?v=y6eEl6rEhuI
 ラモー「優雅な異国の人々」から。しゃれておる。

https://www.youtube.com/watch?v=bD9fLIBP13k
 同じくラモー。やりすぎ。アメリカのイメージなのか?

W.A. Mozart: ≪Divertimento≫ KV 563 / Veronika Eberle / Amihai Grosz / Sol Gabetta
https://www.youtube.com/watch?v=E8c83bpOVXo
 ガベッタ姐さん。強そう。

Menotti Help Help the Globolinks
https://www.youtube.com/watch?v=Te-XVgq0sb4
 メノッティのオペラ「助けて!助けて! 宇宙人がやってきた!」
 宇宙人は旋律的な器楽に弱いが、歌には不感症らしい。オペラの中で「うた」は歌ではないことになっているからね。
 下記の解説は貴重。
 http://blog.livedoor.jp/kzfj0409/archives/68071276.html

メルボルン・スカ・オーケストラ
https://www.youtube.com/watch?v=CVyJkKKfRFs
 おじさん率が高いが、おばさんも良い味出している。
 ウクレレの存在意義は理解できないが。
 He's A Tripper は盆踊りみたいだぞ。

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クラリネット五重奏(モーツァルト)

モーツァルト クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581

私がモーツァルトのクラリネット五重奏を知ったのは遠い遠い昔。

小学生であった私は、町の弦楽アンサンブルになんとか入れてもらって、末席でチェロを弾いていた。木祖の山の中の合宿にも着いて行き、弾けない曲があれば、練習場である大広間を後に、疎林の中を下って清流に足を浸して遊んでいた。その年、クラリネット奏者がやってきた。アンサンブルの中でも年長の人たちが五人だけ集まって、この曲を弾いていた。それまでアンコールピースのような名曲しか知らなかった自分の目の前に立ち上がる大人の音楽。

それまで、音楽とは旋律だと思っていた。自分ひとりで歌として歌えれば良いと思っていた。あのとき、それが簡単にうち壊された。五つの音が鳴っていて、ひとつの音楽が成り立っている。そんなことがあり得るとはとても思えなかったけれど、今、そこで現にそうした音楽が鳴っている。まるで、頭と足を固定されたまま、お腹の中がざわめいているような具合だった。

それから幾星霜。モーツァルトのクラリネット五重奏は、私の中で木祖の疎林と清流と分かち難く結びついている。嗚呼何をか謂わんや。

第1楽章 Allegro
第2楽章 Larghetto
第3楽章 Menuetto – Trio I – Trio II
第4楽章  Allegretto con Variazioni

クラリネットの名手シュタードラーあって始めてモーツァルトはクラリネット曲を書く気になったという。その後、ブラームス、ロベルト・フックス、マックス・レーガー、アンドレアス・ロンベルグ、スタンフォードらがこの編成で曲を書いている。これら多くの名曲佳曲の源流となったこの曲を弾くことができ、大変嬉しく思っています。

水茎の書き流すべき方ぞなき心の裡は汲みて知らなむ 西行

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ブラームス弦楽六重奏第二番

Brahms: 弦楽六重奏第2番 ト長調作品36
 
 ブラームスは、その生涯に弦楽六重奏を2曲作っている。私たちドスリオスアンサンブルで弦楽六重奏第1番を取り上げたのは、遠い昔の第2回演奏会だ。以来、ブラームスやモーツァルトの五重奏はいくつか演奏しているけれど、今回久々の六重奏は第2番を取り上げる。第1番は音が多くて弾きにくかった覚えがある。四重奏を基準にして考えると、四重奏というのは適当な密度と適当な隙間があって、大体においてそれなりに泳ぐことができる。一方、六重奏第1番はたださえ四重奏より人数が多いのに、さらにさらにブラームス式に音がたくさんたくさんあって、やたら混み合っている(ハロウィン祭りの渋谷の交差点のようだ)。一方、第2番の方は、その反省によるものか、結構手すきに書かれている。本当に六人必要なのかなあ、と思うことも実はある。ブラームスの作品番号は大体120が上限と見て良いけれど、そのうち弦楽六重奏は作品番号18と36。どちらかというと初期の2曲である。
 さて、ブラームスの人柄は惚れっぽいけれど結婚できない、と要約できようか。恩人シューマンの細君クララに惚れ、あっちのアガーテに惚れ、あまつさえ、シューマンの娘ユーリアに惚れ、でも結局生涯独身を通す。音楽と人格は関係ないのかもしれないけれど、ブラームスの場合、この惚れっぽさと決め手に欠ける内気さが、煮え切らないロマンチシズムに共通するように思われがちだ。
 ともあれ、ブラームスの特徴ないし得意技は以下のとおりだ。

●対位法が使える。
●変奏曲が書ける。
●音が充満。
●前にも後ろにも進めない複雑なリズム。
●本人はピアニストだが、旋律が豊か。

 対位法も変奏曲も、普通はロマン派的書法ではなくて、むしろバロックの技法なのであるが、こいつらを使ってロマン派コテコテの曲が書けるというのが、またブラームスの個性であり、今回の六重奏もこれらの要素が横溢している。
 
第1楽章. Allegro Non Troppo
揺らめくようなファーストヴィオラのさざ波に乗って、鬱々とファーストヴァイオリンが歌い出す。 この楽章の冒頭のひと下りには、お前一体何拍子なんだと尋ねたくなる。大体において三拍子なのだが、三拍子×2小節=二拍子×3小節になるヘミオラを最初から繰り出す。というか、二拍子が微妙に四拍子に聞こえたり。こういうのって、奏者としては伸び縮みさせにくいんだけれど、音楽としては、鞏固さがあって、面白いんだよね。さらに、そこに付点つき音符が入ったり、単なる旋律線のようで、実は複雑なリズムなのですよ。
 
第2楽章. Scherzo: Allegro Non Troppo
秋風に舞う枯葉のような、すかして格好良いスケルツォ。中間部を聴くと、ブラームスのデビューがハンガリー舞曲だったことを思い出す。
 
第3楽章. Poco Adagio
孤高のファーストヴァイオリンに、ファーストヴィオラの泣きが入る。得意の変奏の中で対位法が炸裂し、暮れ行く夕日のように壮大な終結部に至る。嗚呼、六声でなければならなかったのだなあ、と思うこと頻り。
 
第4楽章. Poco Allegro
明るく軽快な一方で、やはり重さとコクが感じられる終楽章。これも時々変なリズムで惑わされるんですが、音楽は勝手に進んで行くのです。
 
 
プロフェショナルな奏者にとっても演奏しにくい曲であるらしく、実は絶対的にこの演奏が良い、というのを見たことがない。CDを買ってみても、持て余していたり、弾き荒らしていたりとがっかりすることも多い。そもそも六重奏の常設団体がないからか、バランスのとれた六人というのがなかなかない。英国Hyperionレーベルは地味だが質の高い室内楽録音を数多くCD化しているが、このHyperionから出ているThe Raphael Ensembleの演奏はしみじみと良いなと思わせる。
 

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演奏会のお知らせ

いつもの演奏会です。私はブラームスを弾きます。その昔、第一楽章だけは仲間と弾いたことがあります。落ちて入る場所を間違える私に、ファーストヴァイオリンの某君は、私を救い出すために、ヴァイオリンを弾きながらチェロの節を歌うという離れ業を見せてくれました。以って偉とすべし。

今回は、若く充実したゲストが参加されます。こういう上手で情熱をも盛り込める人たちの演奏を目の当たりにすると、自分が生きてきた何十年かは全て無駄であったような捨て鉢な気持ちにもなるのですが、また、自分のような者がささやかながら続けてきたことも音楽の大河の一滴をなすと思えば、幾分の慰めともなろうかと思っています。

いつもより開演が遅いのでご注意下さい。また、曲順はたぶん記載通りですが、変動しない保証はありません。

■■ ドス・リオス アンサンブル
■■ 第29回サロンコンサート

♪ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲 第8番 作品110 ハ短調
  D.Shostakovich String Quartet No.8 Op.110 C-minor

[ゲスト演奏] 弦楽四重奏団ジオカローレ
♪メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲 作品12 変ホ長調
  F.Mendelssohn String Quartet No.1 Op.12 E♭-major

♪ブラームス ピアノ五重奏曲 作品34 へ短調
  J.Brahms Piano Quintet Op.34 F-minor

日時 2015年5月23日(土)
開場15:00 開演15:30
入場無料

会場 鎌倉歐林洞

鎌倉駅東口下車 のんびり歩いて20分

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楽器を捨てる日

文人であれば、筆を置く、あるいは、筆を折ると言うであろう。また、擱筆とも。

自分は、一体、いつまで、どのように楽器を弾き続けるのであろうか。また、いつ、どのように楽器を弾くことの終端を見出すのであろう。

思えば、長い間楽器を中心として生きて来た。一愛好家に過ぎず、私の演奏が世の中に必要とされている訳ではない。

家族を持ち、職場でも年長けて来て、ふと気がつくと楽器が遠のきつつある。細々とであっても続けて行くのか。一時的か、永遠か、思い悩まずに、一旦断念してみるか。

いつか、理想の演奏をする時に、弓を置き、二度とは楽器に触れない、と言うことがあるように想像していた。

また、獲麟とも言う。麒麟とは理想の仁政が行われた時にのみ捕らえることが出来ると言う。いつか、理想の演奏をすることがあれば、また、さもあらん。

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演奏会のお知らせ

カルテット交流会なるものを行います。

私はウェーベルンとコープランドだけですが、いろいろな団体のいろいろな曲があって、楽しみです。
時間が遅いのですが。

■■ カルテット交流会
■■ “Quartet Joint Recital”

♪Frohyroseフロハイローゼ
ラヴェル 弦楽四重奏曲 へ長調 より1,2,4楽章

♪Dosrios Ensemble ドスリオス・アンサンブル
メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲 作品81 ”Fuga” ”Capriccio”
ウェーベルン 弦楽四重奏曲 ”Langsam”
コープランド バレエ音楽「ロデオ」から ”Hoedown” 
ドヴォルザーク 「バガテル」 作品47

♪弦楽四重奏団ジオカローレ GIOCAROLE
シベリウス 弦楽四重奏曲 作品56 「親愛なる声」

日時 2015年2月28日(土)
開場18:50 開演19:00
入場無料

会場 かなっくホール
JR 東神奈川駅、京浜急行 仲木戸駅 徒歩1分

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演奏会のお知らせ

恒例の室内楽の演奏会をします。私は、ドヴォルザークとグリーグのチェロを弾きます。ご来臨の栄を賜りますようお願い申し上げます。

■■ ドス・リオス アンサンブル
■■ 第28回サロンコンサート
♪ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲 第12番 「アメリカ」 作品96 へ長調
A.Dvorak String Quartet No.12 "America" Op.96 F-major

♪グリーグ 弦楽四重奏曲 作品27 ト短調
E.Grieg String Quartet Op.27 G-minor

♪ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 第7番 「ラズモフスキー第1番」作品59-1 へ長調
L.v.Beethoven String Quartet No.7 “Razumovsky No.1" Op.59-1 F-major

日時 2014年12月13日(土)
開場13:30 開演14:00
入場無料
会場 鎌倉歐林洞
鎌倉駅東口下車 のんびり歩いて20分

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カルテットで落ちる日

以前、カルテットを弾いて、落ちたら褒められた事がある。

この場合、「落ちる」というのは、音楽上の居場所が判らなくなって演奏を停止してしまうことを言う。
譜面上どこに居るのか判らなくなるといっても良い。

なんでも、世の中には、誤っているのに弾き続ける御仁が居るので、それに比べれば、互いが喰い違ったことに敏感に気付いて偉いのだそうだ。


モーツァルトやハイドンの譜面で、チェロの音は疎らなので、回りを聴かずに弾くのは却って難しいのだが、褒められたのだから、とりあえず喜んでおこう。

カルテット落ちて褒めらる事もあり落ちずに弾くは図々しきなり

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トランペット・マリネ(Tromba marina)

E.T.A.ホフマンの「牡猫ムルの人生観」に出て来る「トランペット・マリネ」なる楽器が気になって二十年。

Wikipedia には解説がある。良い時代になったものだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Tromba_marina

と、思いきや、我が家のCDにも、Vivaldi: Concerto In C, RV 558, "In Tromba Marina" なるものがあった。
クラウディオ・シモーネとイ・ソリスティ・ベネティの録音で、「2つのマンドリンのための協奏曲」に収録されていた。マンドリンのための協奏曲だけ聴いていて、ちっとも気がつかなかった。が、これはどうも、トランペット・マリネ「のように」ということらしく、一部にハーモニクスで演奏する部分があるというだけなようだ。

ちょっと残念だが、そんなものか。

弦楽器なのにトランペットのような音がする、というのは、スメタナの弦楽四重奏で、ヴィオラに対して、「トランペット風に」と指定があったり、クープランの演奏会用五つの小品において「ラッパ」(原曲はヴィオラ・ダ・ガンバ)があったりするのである。

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ドヴォルザーク弦楽四重奏曲Op.51

拝啓 ドヴォルザーク様。

いつもお世話になっております。

これまで、私たちはあなたの弦楽四重奏曲を随分弾いてきました。
Op.96「アメリカ」は2回。巷でよく知られた曲ですが、弾きやすく演奏効果も高い。
こうした曲は、やはり何度でも取り上げてしまうものです。中間楽章にチェコ流のひっかけリズムがあって、ついひっかかってしまう難はありますが、どの楽章も演奏し易いが、どのパートも楽しい役割が割り付けてあって非常にバランスがよろしい。

Op.80はセンチメンタルで可愛らしい佳曲です。特に、四楽章で、ヴァイオリンの刻み、チェロのピチカートの上で、ヴィオラが甘ったるい旋律を奏でたり、四つの声が鳴き交わしたりすると、おセンチな少女趣味と思いつつも、ついつい嬉しくなって、頬が緩んでしまうのです。

そしてOp.105、Op.106という大曲も弾きました。この二曲はシンフォニックで超絶格好良いんですが、私たちアマチュア演奏家には負担があって、挑戦の楽しみを頂いたと言ったところでしょう。
私は、Op.105はドヴォルザークさんの最高傑作と目しておりますが、ヴィオラにゃ弾けるが、チェロには苦しいパッセージが目白押しであります。Op.106に至っては、四人共々人間の弾く曲かどうか疑わしい譜面であるものの、チェコらしい溌剌とした雰囲気と、彽徊する雰囲気の交錯がとても良いんです。

今回のOp.51は、御作のうちでも特にスラブ風ですね。そういう注文を受けての作曲だったと聞いていますが、スラブ舞曲第1番(ピアノ版)Op.46とも近く、あなたがスラブ趣味で売り出した時期の曲と思っています。初期の作品はちっともスラブ風ではなかったりするので、スラブ趣味は、注文でもあり、また、ある程度営業戦略でもあったと思っていますが、己の語法として完璧に操っている事には大変敬服します。どのパッセージも生き生きとしており、注文作曲であることが信じられません。

そして、どの曲を弾いても感じるのは、各楽器を上手に働かせていることと同時に、ヴィオラへの偏愛でしょう。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトなどなど、良い四重奏曲では、内声の使い方が上手ですが、プラハの国民歌劇場のヴィオラ奏者であったドヴォルザークさんは、特にヴィオラの良い音色のする音域を使うのがお好みですね。


第1楽章は、メリーゴーランドが緩やかに回り出すような冒頭、終結部の後ろ髪を引かれるような表情がとても素敵です。
 青草の公園メリーゴーランド五月の風の快く吹き

第2楽章冒頭は、
 森の奥の泉のほとりに乙女ありて昔のうたを口ずさみにけり
といった風情。
シンプルだが心に迫る中間部がまた良くて、時に挟まる快活なヴィヴァーチェはフリアントでしょうか。

第3楽章では、森の彼方から聞こえる角笛に始まり、厚みを増す歌の中で、
ヴィオラの浮遊感のある独奏が泣かせます。
 森の彼方落ち行く夕日に照らされて今日の名残の雲ぞ消え行く

第4楽章はチェコ風にポルカで〆めて頂いて大変嬉しいです。ファーストヴァイオリンとヴィオラが颯爽と風を吹かせるのが堪らない。時に、カンタービレに流れる時も、泣かせます。

この曲は、爽やかな五月の演奏会に相応しい曲であると思っています。良い弦楽四重奏曲をたくさん
作曲して頂き、ありがとうございます。
 儚さは若葉茂れる山道のこの有様の二度と無き事

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