たまさかに楽器弾く日の悲しけれ思ふところに指の行かねば
自らの身体であれどなかなかに思ふやうには動かざりけれ
ある日には人前で楽器を弾けることもあり満足すべき演奏ならねど
人たちはあえて触れざることもありその 経緯こそよくも知りたる
後になればあれこれ思ふ事もあり先に思はぬは愚かさかりけり
愚かさを数へ上げては忘れけり忘れぬならば生きるは辛かる
乗る汽車はいつか何処かに着きにける我が行く先の何処になるかは
降りる駅を間違へまいと思ひけるいつか寝落ちの危機を覚へつ
後一駅思へる後の危なかるそこで落ちては何のためやら
幼きよりヴァイオリン習ふを羨めど彼らは彼らの悩みあるべし
ふらふらと人に習はずチェロ弾ける我が人生も肯定さるべし
人に習ふ気持ち薄かる我なれど人によりては師とするもあり
録音を聴いて絶望また絶望諦めざるが唯一の取り柄
数多人の関わる業ぞ素晴らしきそこから漏るる我ぞ悲しき
サングラスは悪者なると見覚えし昭和のドラマさてなんだったらう
今もなほサングラス見れば悪者と偏見から逃れぬ昭和の我なる
あまりにも暑くしあれば日ノ本の国にもあらず無為を憎めり
のんびりと「熱中症に気をつけよ」てふ気象予報士に職業倫理なしや
メディアなる人々の無為無責任は未来の人に咎めらるべし
ふと思ふ「おしまいの人間」とは己でないかと気にするだけ野暮かも知れないが
ありのままの自分で良しと言ふなれどありのままでは困るんです今日
コントラバス妻に阿り背負うとも余りの重きに三歩と歩まず
日の本に人としあらば一度は長歌旋頭歌詠みてみたけれ
食べ過ぎで背筋伸びぬと息子言ひそれならあんなに肉を頼むな
美しい「ポジション移動」をしてみたいそもそも美しいとは何かわからぬ
とりたてて味も香りも無かりけり安物売りの特売の海苔
小豆煮る匂いも良かれ秋の風和菓子を買って家に帰ろう